2013年7月12日空木岳


昨晩は7時半頃横になっていたらいつの間にか寝ていた。
4時過ぎに目が覚めた。
外は雲の中で何も見えない。
風が強く、窓がカタカタと音を立てている。
雨具上下、フリース、ダウン、冬用手袋などあるものを全て着込んで外に出た。
一瞬東の空に朝焼けが見えたが、すぐにまた何も見えなくなった。

朝食を済ませ、5時40分出発。
小屋のご主人によると昨日は9時頃晴れたそうなので、もう少し待ちたい気もするが、そうもいかない。
ゆっくり行こう。




西風が強く吹き続け、雲の中で何も見えない。
お花畑が続いているが、よくこんなところで咲いているものだ。
最も条件の良い日でこれだ。
天気が悪くなったり寒くなれば大変なことになる。
日頃運動していない人や経験、装備が不十分な人の来るところでないことは間違いない。
ちなみに富士山には、経験、装備、体力全て不十分な人が大勢いるが、とんでもないことだ。
富士山はそんなに甘い山ではない。
天候が悪くなれば死に直結する。
低い山で経験を積み、体力をつけ、徐々に装備を充実させてから行くべき山だ。

コマウスユキソウ





険しい岩場が続く。





チングルマ





コイワカガミとミネズオウ。



山頂近くで休憩していると、何と雲が取れてきた!
しばらくすると完全な晴天!
感動で涙ぐみそうになった。
今日はもうだめかと思ったが、運が良かった。
小屋を先に出た人たちは、この雲が取れる前に山頂を後にしたようだ。
何ともったいないことか。

御嶽山。





八ヶ岳と南アルプス、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、手前これから下る道に駒峰ヒュッテ。





ハクサンシャクナゲ





南駒ヶ岳。





山頂の先に南アルプス。左は北岳。塩見岳から富士山が少し顔を覗かせている。




左遠方に御嶽山、右遠方に甲斐駒ヶ岳、宝剣岳。
宝剣岳手前からここまで歩いてきた。





来た道の先に乗鞍岳。




山頂でしばらく眺めを楽しみ、去りがたい気持ちを抑えて下山開始。
空が青い!



すぐ下には駒峰ヒュッテ。
ホームページによると営業は13日から。
小屋には誰もいなかったが、近くにヘリコプターから降ろされた荷物があった。
小さな小屋で、泊まれるのはせいぜい20人ぐらいだろう。

駒峰ヒュッテと木曽駒ヶ岳。





空木岳を振り返り眺める。



小屋のご主人によると、空木平はまだ雪が残っていて花が咲いておらず行く意味がないとのことだが、確かに雪がたくさん残っている。
最後に登り返しで25分余計にかかるそうだ。
今回は尾根道を下った。
尾根の東側で西風が遮られ、天気も良く、ここは天国だ。
素晴らしい眺めを堪能しながらゆっくりと下った。

左はこれから下る尾根道、右に空木平。
遠方は八ヶ岳と南アルプス。





これから下る尾根道の先に八ヶ岳。




沸き立つ雲。
木道はかなり壊れている。





大分下ってきた。




木曽駒ヶ岳、中岳、宝剣岳。
手前は檜尾岳と檜尾避難小屋。





ハクサンシャクナゲの咲く尾根道。





花崗岩の巨大な岩のある風景は燕岳に少し似ている。





ゴゼンタチバナ





ナナカマド





ハクサンシャクナゲ





宝剣岳の下に千畳敷カールが見えてきた。



やがて樹林帯に入るが、ここも心地よい森だ。
植林のようなつまらなさ、気分の悪さとは無縁の美しい自然林、しかも高山特有の植生で、高度を下げるごとにその植生は変化していく。

マイヅルソウ









途中小地獄大地獄という鎖場があるが、慎重に下れば問題ない。
ちなみに鎖はなるべく両手で持たず、片手は岩をつかんでおきたい。
そうしないと揺れてバランスを崩しやすい。












新池山小屋近くの水場。



池山林道終点までは車で来ることができる。
タクシーを呼ぶこともできるが、予約しないと来るのに45分ぐらいかかる。
この先も美しい森が続くので、できれば歩いて下りたい。

シモツケ





ホタルブクロ




こまくさの湯まであと少し。
正面に宝剣岳が見える。
あの高さから下ってきた。



駒ヶ池に下り、こまくさの湯ですっきりしてからバスで駒ヶ根駅へ。
岡谷までのんびりとした単線に乗り、岡谷から特急あずさで帰宅。
甲斐駒ヶ岳、仙丈岳、鳳凰三山、富士山、夕焼けなど楽しみの尽きない鉄道の旅であった。

<重さ>
必要な装備はきちんと持っておかなければならない。
しかし500g重くなれば負荷の違いははっきりと認識できる。
荷物の重さは命に関わる。
リュックは46リットルで680gというかなり軽量なものにしている。
これで通常のリュックよりも1kg軽くなる。
水は今回の行程だとどうしても2リットルは必要だ。
負荷は増えるが、途中に小屋もなく仕方ない。
フリース、ダウン、雨具上下、冬用手袋、食料、非常食、アイゼンも必要不可欠。
今回スマートフォン用にバッテリーを持って行ったが、スマートフォンは通信を切っていれば驚くほど電池は減らない。
ひょっとしてなくてもいいか。
しかし通信も命に関わる重要なものなので難しいところだ。

<強者>
標高860mの駒ヶ池方面から登ってくる強者が何人かいた。
単純な標高差で2000mあり、かなりハードな登山だ。
ただし多くの人は標高1365mの池山林道終点まで車で来て、そこからの登山だろう。
単独の若い女性が二人いた。
若く屈強そうな外国人と70代以上に見えるおばあさんは、恐らくおばあさんがガイドを雇って登っているのだろう。

<幕営禁止>
空木岳ではテントは禁止されている。
これは植物再生と保護のためのようだ。

<睡眠>
睡眠は非常に重要だ。
登山はどうしても初日が寝不足になってしまうが、高山では意識がしっかりとしていないと危険だ。
なるべく前日は早く寝るようにしたい。

<食欲>
食欲は常にある。
昔39度の熱が出て医者に行った時、「食欲はある。」と言ったら、「それは変ですね。」と言われた。
今回も高山病の症状で頭が痛くなったが、夕食も朝食もご飯をおかわりしてしっかりと食べた。

<低酸素室>
低酸素室でしっかりとトレーニングをすれば高山病になりにくい。
しかし登山の2週間以内に数回のトレーニングが必要だが、その時間を作るのは多くの人にとって難しいことだろう。
低酸素室で検索すれば出てくるが、トレーニングできる施設は限られている。




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